成果報酬型求人サイトのデメリットを考察~掲載型に負ける要素は広告費にあり

アルバイト募集や正社員募集などの求人サイトには、掲載時に費用が発生する『掲載課金型』の求人広告が日本では主流ですが、現在では掲載開始時点では費用は発生せずに、採用や応募があったときに費用が発生する『成果報酬型(成功報酬型)』の求人サイトも多くなってきています。

今回は成果報酬型求人サイトの運営経験がある筆者(このサイトの管理人)が、この課金型に焦点をあて、掲載課金型と成果報酬型の求人サイトの違いやメリット・デメリットを考察していきます。

求人サイトの課金モデルは大きく分けて2つ

現在の求人サイト・求人広告の課金システムは大きく分けて、従来の掲載課金型モデルと、成果報酬型モデルの2つに分かれます。

求人サイトの課金モデル

 
そのなかでも成果報酬型は細分化され、採用が成立したときに費用が発生する『採用課金』と、応募があったときに費用が発生する『応募課金』があります。これ以外にも細かく成果を区切っているサイトもありますがほぼこの2タイプに分かれます。

掲載課金型
成果報酬型
掲載課金
応募課金 or 採用課金

アルバイト求人サイトで言うと、タウンワークや、バイトルanマイナビバイトなどの大手サイトはほぼ掲載課金型です。成果報酬型はマッハバイト(旧ジョブセンス)、マイベストジョブシフトワークスなどがそれにあたります。ですが、成果報酬型をメインに打ち出しているサイトであっても、掲載型のプランも併用してあったりします。

成果報酬型の採用課金はマッハバイト(旧ジョブセンス)が始めたモデルで、そこから一気に同様のモデルを採用するサイトが増え始めました。

尚、成果報酬型は成功報酬型とも言われます。どちらも同じことを指しています。

掲載課金型と成果報酬型の違い

費用のリスクが大きく違う

まず、掲載課金型と成果報酬型の違いですが、これは企業側の最初のハードルが高いか低いかになります。

掲載課金型ではもちろん掲載時に費用が発生しますので、もし1人も応募や採用がなくても掲載した時点で費用が発生します。中小企業や、1店舗のみで営業しているお店などではリスクが大きいです。

逆に成果報酬型では、1人も応募や採用がなければ費用が発生しません。どれだけ掲載期間が長くても成果が発生しなければ費用はかかりません。コスト面のリスクの違いが一番の大きな違いです。

初めて求人募集する場合などはどのくらい応募があるかもわからないので、掲載型の求人サイトに掲載したけど1件も応募もなかったという話は当然よくあります。掲載課金型の営業マンからするとそのときのお客様への対処が営業の仕事と捉えている人も多いのも事実です。

⇒1人も採用できなければ掲載課金型は赤字です。

 
ただ多くの人数を採用したい場合は掲載課金型の方が安くなります。掲載課金型は何人採用しても掲載料は変わりませんので多くの人数を採用したい場合はこちらの方が安くなります。

⇒複数人採用する場合は掲載課金型の方が1人あたりの採用単価は安くなる。

大量募集するような多くの店舗を持っている場合は、求人サイト側は逆に掲載してほしい企業となりますので、成果報酬型の求人媒体に直接問い合わせてスケールディスカウントすることは当然可能です。この場合は費用面での差はなくなることが多いです。

これだけ見ると成果報酬型に強みが見えますが、マイナス面・デメリットもあります。

成果報酬型は原稿作成を自分でする必要あり

掲載課金型はどのサイトも求人原稿の作成はサイト側が行います。掲載費用のなかに原稿作成料が含まれています。ですが成果報酬型の多くのサイトは管理画面の操作から原稿作成や更新、公開開始・停止などを自分でする必要があります。なかには原稿作成の代行を行っているサイトもありますが、この場合別途で費用が発生します。

急いで求人募集を始めたい場合や、管理画面の操作など時間がとれない場合はこの部分がマイナス面・デメリットになります。ですが、自分で原稿作成する分、最短で申込み当日や翌日に掲載開始することも可能ですのでメリット面もあります。

原稿作成については、企業のほとんどの採用担当者の方は煩わしさを感じます。店舗数も多いお店や企業ではこの点は面倒くささがありますので、成果報酬型は掲載しないという選択をするところも多いです。ですが、この点においても多くの店舗を持っていて募集する求人数が多い場合は、求人サイト側が原稿作成することもありますので、その場合は直接媒体に問い合わせてみることをおすすめします。(掲載型も利用している場合は、その求人原稿を流用するなどしている企業も多いです。)

メリット・デメリットまとめ表

掲載課金型
成果報酬型
費用の発生タイミング掲載時成果発生時
成果(応募・採用)なし費用が発生する費用の発生なし
多人数採用コスト安くなる高くなる
求人原稿作成媒体がする自分でする
公開停止など管理画面の操作媒体がする自分でする
掲載期間プランごとの期間制限なし
応募者対応自分でする自分でする

上記記事内でも書きましたが、大人数を採用する企業については求人サイト側は掲載するメリットが大きいため、直接交渉することで費用面や運用コスト面で条件が近くなったり、同じになったりすることが多く課金モデルでのメリットデメリットの差も少なくなる傾向です。

求人サイト運営側からみた課金モデルでの違い

上記までは一般的な掲載課金型モデルと成果報酬型モデルのサイトの違いを掲載企業側の視点で書きましたが、今度は求人サイト運営者側の視点での違いを解説します。

求人サイトの集客方法・経路は主に3つ

現在求人サイトがサイトに求職者を集める方法は主に以下の3つです。

  • サイトを知っている人が直接訪れる(サイト名で検索や、ブックマーク、会員メールなど)
  • WEB広告から
  • SEO対策で検索から
  • SNSから

そのなかでもWEB広告からの集客はどこのサイトも大きく費用をかけています。一番費用対効果が分かりやすいということと、集客の総数(応募者のパイ)も大きく獲れるからです。

そのほかの1つ目の「サイトを知っている人が直接訪れる」は認知度を上げることと連動しますので、なかなか上げる施策を行うのは難しいです。3つ目の「SEO対策」は多くのサイトはどこも力を入れています。特に大手のサイトパワーは検索結果にあたえる影響力が強く、求人数の少ないサイトが順位を大きく入れ替えるほど上位に表示されることはほぼない・難易度が高いと言えます。4つ目の「SNS」はSNSマーケティングをしっかり行うことでユーザーを増やしていくことは可能ですが全体に対する応募者のパイとしては小さくなります。

要するにWEB広告にしっかり費用を捻出できるところが応募数を集めやすいということです。まずそういったことが背景にあります。そのうえで以下の点が関係してきます。

掲載課金型は売り上げが大きくなりやすい

掲載課金型の求人サイトは、掲載時に費用が得られるため運営者側は売り上げが大きくなりやすいです。それに比べて成果報酬型は成果が発生しないと売り上げにならないので、事業自体の売り上げは掲載課金型にどうしても負けてしまいます。掲載型の方が圧倒的に売り上げ額が大きくなります。

そのため何が変わるかというと、サイトにかける広告費が違ってきます。掲載型は成果(採用・応募)が発生しなくても売り上げが入ってきます。その売り上げのなかから集客のための費用を捻出できます。具体的にはテレビCM、WEB広告(リスティング広告や、リマケ・リタゲ、indeedなど)に費用を継続してかけることができます。この点で成功報酬型は費用を捻出できにくい構造となっているため、サイトとしての集客力に差がでてきてしまいます。

広告単価が大きく違う

特にWEB広告は費用対効果が見えやすく、どの求人サイトも1人の採用にかける採用単価が計算できます。掲載課金型のサイトの方が採用単価を高く設定できるため、同じクリック単価を競うような広告では成果報酬型のサイトはかける単価で大きく負けてしまい費用をかけることができません。(1採用単価をほかの売り上げなどから捻出して上げられるのであれば可能です。)

例えば、リスティング広告ではアルバイト関連のキーワードでは激戦でもありますので、1クリック数百円程度かかります。これは応募・採用に繋がらなくてもクリックされれば費用がかかります。

掲載型であればこの1採用にかけるコストが極端な話、掲載費のなかから赤字が出ない範囲までかけることができますが、成果報酬型は成果が発生しないこの時点ではコスト割れとなり、リスティング広告を使うことがほぼできません。(求人のWEB広告のなかでリスティングは費用対効果が特によくないです。)

indeed広告であっても掲載型の求人サイトとクリック単価で表示順位を争いますので、1採用にかける費用面で負けてしまいます。

といった点から成果報酬型のサイトは、広告戦略において苦戦を強いられることになります。そういったこともあり、マッハバイトでは「神バイト」といったバズり目的のようなコンテンツで集客したり、SNS施策に力を入れたり、他社より差別化したりしているのが感じられます。

マッハバイトのようにWEB広告以外で集客するノウハウや、ネームバリューがあれば、課金モデルの違いでの集客力の差は小さくなりますが、一般的に成功報酬型モデルは掲載課金型と比較して広告宣伝費の原資の捻出において劣るという点は間違いないと言えます。

成功報酬型の方が集客力がないわけではない

ここで勘違いしてはいけないところが、成功報酬型の方がかけられる広告費が少なくなるということで、必ずしも集客に劣るわけではありません。よく大量募集する場合や、急いで求人を集めたい場合には成功報酬型だと集まらないというのを耳にすることがありますが、これはすべての掲載課金型が強いというわけではなく、すべての成功報酬型が弱いというわけでもありません。

掲載課金型のサイトであっても、なかにはそもそもWEB広告自体していない媒体もありますし、かけていても予算が少ない場合や広告媒体の数が少ない場合もあります。また、費用対効果割れする業種や職種ではそもそも広告をかけていない場合もあります。一般的に掲載課金型の方が広告の原資を作りやすいということです。

逆に成果報酬型であってもマッハバイトのように広告以外での集客をうまくやっているサイトもあります。

このようにサイト自体の集客力の差によるところも大きいです。こちらの⇒効果のあるアルバイトサイトランキングの記事でも書きましたが、サイトによる集客力の差が応募数に圧倒的な差を生みます。課金モデルの差もありますが、サイトの差も大きいです。

掲載型大手の集客力は別格

とはいえ、テレビCMを大量に流せるような予算をとれる掲載型の大手求人サイト、タウンワークやバイトルなどは年間の広告費は億を超えていますので、集客力の差は歴然です。応募の集まり方も別格です。an、マイナビバイトの広告費も大きいです。

中堅どころ以降はサイトの差が大きい

そのほか、中堅どころ以降の掲載課金型サイトも広告の予算はそこまで大きくないためそれ以外の集客力の差が大きくなる傾向です。地域ごとでのサイトの認知度の強さや、職種ごとにSEOが強い場合、個社ごとにSEOが強い場合などがあります。

広告に費用を多く投下できないサイトでも局所的に集客力のあるサイトはありますので課金モデルだけで判断しないようにしましょう。

掲載課金・応募課金・採用課金はどれが一番安くなる

筆者が今まで運営してきて見てきた経験上、採用数が多い企業様は掲載課金がコスト的に安く収まります。その次に応募課金、その次に採用課金です。1ヶ月あたりの採用人数が多くなればなるほど、掲載課金に費用的なメリットが生まれます。(媒体の集客力を同じとした場合)

応募課金ではだいたい5、6応募で1人採用できれば採用課金と変わらない費用になるような料金体系をとっていることが多いです。(サイトごとに料金を細かく比較する必要はあります)採用人数が多い企業の傾向ではその応募数よりも少ない人数で採用できるケースが多くなっており、採用課金よりも応募課金の方がコストを抑えられます。

1ヶ月に複数名採用できるような企業は、知名度もあったり、認知度も高いケースが多く、応募も多く採用率も高い傾向にあります。ですので応募自体がある程度ある場合が前提ではあります。

逆に応募自体が少ない場合や、応募はあるけども採用にまで至らない、採用率が低い場合は採用課金がコストが一番抑えられます。この点は一度掲載してみて応募状況をみてみないとわからないところですので、状況位に応じて使い分けるというのが一般的です。

一番リスクがあるのは掲載課金型で掲載したけども応募自体が少ない場合です。この場合は費用のみ出て行ってしまいます。掲載課金の媒体選定は慎重にしたいところですが、成功報酬型であればリスクもないのでまずやってみるというがおすすめです。応募数・採用人数の数を多く獲りたい場合は、掲載課金型・成功報酬型の両方を併用するのが賢い使い方です。

 
ケースによってどのモデルを使うのが良いのかはこちらをどうぞ↓今現場で効果のある媒体を代理店営業マンに教えていただきました。必見です。

アルバイト・パート募集でおすすめな成果報酬型の求人サイト

最後にアルバイト・パートの募集で成果報酬型を始めようとした場合におすすめできる求人サイトを紹介します。成果報酬型の求人サイトは掲載課金型よりも数が少なく、また効果のあるサイトとなるとさらに少なくなります。

アルバイト・パート募集では数サイトですので、そのなかでも求人数もそれなりにあり、応募効果の期待できるサイトを紹介します。

マッハバイト

マッハバイト
出典:j-sen.jp

掲載課金応募課金採用課金

まずは成果報酬型、採用課金モデルを最初に始めたマッハバイトです。現在では応募課金型、掲載課金型も開始されていますが採用課金がメインでよく使われています。また成果報酬型サイトの特色で、求職者側に採用が決まると祝い金を進呈するという変わった形態をとっています。これはマッハバイト(旧ジョブセンス)が始めた仕組みですが、今では成果報酬型のサイトのほとんどが同じ仕組みを使っています。

掲載求人数も多く、求職者の認知も高いですので、アルバイト・パート募集で成果報酬型を始めなら迷いなく第一の選択肢になります。

マッハバイトは特にネット上の集客が強く、若い世代の認知が高いです。話題作りもうまく集客方法も変わっていて、「神マッハバイト」といった話題になりそうな求人を特別に作って認知を高めていたりしています。

例えば、『◆料理未経験の人歓迎◆伝説の料理人っぽい写真を撮るバイト』←このバイトでは全然料理の経験がなくても、コック帽をかぶって写真を撮影すればバイト代が支払われます。バイト時間は5分で、給与は36円/1分と祝い金(マッハボーナス)が10,000円支給されます。バイトの当選は応募した人のなかから抽選で決定されます。

代理店営業マンの方のコメントでも実際の応募効果も十分にあり、求人営業へ行った際も提案の選択肢に入れてらっしゃるとのことです。成果報酬型であればマッハバイトをおすすめし、併せて掲載課金型を併用するように提案されているようです。

マイベストジョブ

マイベストジョブ
出典:mybestjob.jp

掲載課金応募課金採用課金

2つ目は関東圏で認知の高いマイベストジョブです。東京、神奈川近郊ではJ-WAVEでラジオCMが毎日大量に流れており、ラジオを聞く人であれば一度は聞いたことがあるほど認知度が高いです。サイトのモデルはマッハバイトと同様です。祝い金もあります。求人掲載数はマッハバイトほど多くはないですが、大手企業にも多く利用されています。マッハバイトとはまた違った求職者の層を獲得していますのでこちらも掲載する価値はあります。2019年4月から採用課金以外にも応募課金、掲載課金もスタートしています。

代理店営業マンの方のコメントでは、マッハバイトよりも集客面では劣りますが、マイベストジョブの方が強い部分もあり、併用をすすめていらっしゃりました。費用面ではマッハバイトよりも安く、アルバイト採用最安です。場合によってはマイベストジョブだけですぐ決まって安価に採用できたケースもあります。

しゅふJOBパート

掲載課金応募課金採用課金

最後は主婦パートをメインに打ち出したしゅふJOBパートです。パート募集に圧倒的に強く、パートを探している人には一番に目にすることも多いサイトです。(アルバイト・パートに法律上の違いはありません。)パートについての集客力は強く、ネット上のパート関連のキーワード検索でも上位に表示されています。特に主婦の方のパート探しには認知度が高いです。会社も年々拡大中ですので利用企業も増加していると思われます。

代理店営業マンの方のコメントでは、主婦パートの募集には圧倒的に強いので、パート募集であれば選択肢に入れてくださいとのことでした。またこのサイトは応募課金で始める方がコストが低くなりやすいとのことで応募課金をおすすめしてらっしゃいました。まずは応募課金ではじめて応募数などの効果を見てから、場合によっては採用課金に切り替えるなどが良いようです。

おすすめまとめ

成果報酬型ではまだまだ求人数を多く獲得できているサイトが少ないですがここで紹介した3つのサイトは応募効果も最低限期待できるサイトと言えます。成果報酬型の場合は0円でスタートできますので、可能であれば1つのサイトだけよりもここで紹介したサイト3つは登録して掲載することをおすすめします。

予算があまり取れない場合や、初めて求人募集をする場合は、リスクを抑えて成果報酬型から開始して様子を見、応募効果が思ったように期待できないようであれば、掲載課金型も併用するというような使い方が良いと思います。掲載課金型をすでに始めている場合でも、採用活動をうまく進めるには、多くのサイトで求人を露出することが重要ですので、併用をおすすめします。

掲載課金型を含めたアルバイト・パート募集で効果のある求人サイトを代理店営業マンに聞いています。↓なぜそのサイトなのかも